倉知眼科倉知眼科

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カラーコンタクトレンズによる眼障害

現在、カラーコンタクトレンズの流行に伴う眼合併症の増加が問題視されています。
日本コンタクトレンズ学会が、カラーコンタクトレンズによる眼障害調査を行った結果、使用者のコンプライアンス不良とカラーコンタクトレンズ自体の問題があげられました。

使用者のコンプライアンスの問題点は、眼科医による処方や定期検査を受けていない、使用方法やレンズケアが不適切などが挙げられ、カラーコンタクト自体については、①素材の低酸素透過性、②フィッティング不良、③着色方法等が問題視されました。

これは厚生労働省に承認されたカラーコンタクトレンズであっても眼障害(角膜浮腫・角膜潰瘍・角膜上皮障害・結膜上皮障害・輪部充血・角膜浸潤・アレルギー性結膜炎)は起こり、自覚症状を感じない場合もあるという事です。

①酸素不足

昔のコンタクトレンズは、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)という素材が主流で、柔らかい素材ではあるものの酸素透過性が低い事から、長時間の装用には向いていないレンズでした。
現在は、HEMA素材にシリコーンを共重合させた、シリコーンハイドロゲル素材のSCLが登場し、従来の素材の数倍の酸素を透過するレンズが主流となりました。

カラーコンタクトレンズは安価で着色しやすい事からHEMA素材が主流で、台湾や韓国で多くのブランドに使われています。HEMA素材のコンタクトレンズは酸素透過係数とレンズの厚み(DK/L値)が重要になってきますが、一般に公表されているブランドも少なく、本来ワンデーで最低24.1以上は必要なのですが、HEMA素材に色素を混入させている為レンズが分厚くなり、DK/L値が24.1未満のコンタクトが多数販売されています。結果、短時間の装用でも酸素不足となり眼障害が起きやすいコンタクトです。

②フィッティング

元々、酸素透過性の低いHEMA素材のコンタクトは、レンズのサイズが12.0㎜~14.0㎜で、ベースカーブも数種類ありました。
現在のカラーコンタクトは、サイズが15.0㎜以上あるものもありサイズも一つしか無い為、個人差がありますが角膜に対してコンタクトのカーブがきつい場合が出てきます。

角膜に対してカーブがきついカラーコンタクトの使用を続けると、角膜が変形し度数や乱視が急激に増えて見にくくなり、装用を長期間中止しないと元に戻らない状況になる恐れがあります。他にも眼障害も更に起きやすくなります。
インターネットや量販店での、眼科医を通さないコンタクトの処方には、このようなケースの眼障害の頻度が多くみられます。

③色素

カラーコンタクトレンズの着色の方法は3種類あり、HEMA素材に薄く着色剤を染み込ませた場合と、レンズの外面か内面に着色剤をプリントしたもの、着色剤をHEMA素材で挟み込んだものがあります。
色素の成分は、鉄・チタン・酸素・炭素・塩素・銅などが検出されており、眼に決して良いと言えない事がうかがい知れます。

カラーコンタクトレンズの表面に色素による凹凸があると、角膜や結膜に刺激を与えて眼障害を起こしやすくなります。メーカーの構造上、カラーコンタクトレンズの表面は薄い膜で覆われているようですが、膜から色素が漏出する場合も多く、それが眼障害につながることもあります。特にレンズの内面・外面に色素がプリントされたカラーコンタクトレンズで一日使い捨て以外の場合、レンズケアの為の擦り洗いによって色素が漏出する場合もあり、よりリスクが高くなります。

厚生労働省の承認には製法の記載義務がありますが、一般には公表されていない場合も多く、承認されたコンタクトだから安全だとはなかなか言えなくなっています。
眼に安全なコンタクトを装用し、定期的な眼科受診を心がけて下さい。